ベートーヴェン
①交響曲 第5番 ハ短調 作品67《運命》
②交響曲 第7番 イ長調 作品92
指揮:クリスティアン・ティーレマン
フィルハーモニア管弦楽団
録音:1996年7月 ロンドン
ティーレマンのメジャー・デビュー録音。後年、ウィーン・フィルとベートーヴェン:交響曲全集を完成させていますが、この鮮烈なデビュー録音の印象は薄まるものではありません。深い呼吸のがっしりした「これぞベートーヴェン!これぞドイツ音楽!」といえるもので、《運命》の出だしから心地よい緊張感が伝わってきて、フィナーレまで弛緩することがありません。テンポや各楽器の音色の巧みな使い方が光り、全体を隙なく構築しています。フルトヴェングラーもフリッチャイもカルロス・クライバー ももちろん大好きですが、このティーレマン盤も忘れることはできません。ベートーヴェンが好きな方は必聴の名盤です。
オケの鳴り方が、ハンパではない。フィルハーモニア管が、ベルリンフィルのように低音から、しっかりと鳴っている。これだけでも、異常なこと!!こんな立派なフォルテの響きを聴いたのはいつ以来だろうか? 解釈が、本当に良く考えられている。テンポがちょっとゆったり過ぎる所はあるが、盛り上げる所、追い込むべき所ではしっかり迫力を出しているので、ストレスはたまらない。厚ぼったく鳴らしているだけではなく、各楽器の楽想が、いつの間にか耳に入ってくる。彼が、この曲をどう捉えているのかがよくわかるし、色々と考えさせられるヒントを含んでいるので、聴いていて面白く、聴き終わった後の充実感も充分、繰り返し聴きたくなる演奏である。録音はおそらくDGの総力を挙げてのベスト録音。いかにこの指揮者に期待しているかがわかる。低音がしっかりして適度な残響。懐古趣味のようでいて新しい解釈。考え抜いた末、本当に自分で納得した上での自信を持った演奏。恐ろしい才能の、本格的な指揮者の待望の登場だ。
ピリオド奏法に違和感を感じる方にとっては、このティーレマンのロマンチック奏法のベートーベンは心から楽しめる一枚。ロマンチック奏法と言っても20世紀巨匠への回帰ではなくて、21世紀のベートーベン像を新たに作り出している。
輸入盤、盤面傷無し 10
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