【古書】歴史學叢書 『亞細亞史概説』中世篇 螢雪書院版(K_0175)
序言より抜粋
本書は西暦前三世紀末より、十七世紀中葉まで、支那で言えば、秦の建國から淸の初期までの約千九百年を扱った通史である。大帝國「秦」の成立以來、未だ欧米勢力の影響を強く蒙らなかった「淸」の初期までの間は、アジアが支那を中心として獨自の歩みを續けて來た時代である。此の時代を「中世」の名で一括したのは此の故である。
本書は
各章の冒頭に「アジアの概觀」なる項を設け、各時代に於けるアジアの全貌を窺ひ得る様にし、書名に適はしからしめた。併し、現在の東洋史學發達の水準に於て、全アジア民族の興亡や特質を萬遍なく書く事は不可能に近い。その上アジア中世に於いては、時に盛衰はあつても「支那」が歴史の中心に座してゐた事は否むべくもない。かるが故に、題して「亜細亜史」とは言っても、結局それは「支那」を中心として書かねばならなかった。従って本書中の各章も支那王朝の更替によって區分されてゐる。なほ亜細亜史の名を廣義に解する限り印度史の扱ひ方が當然問題となる。併し印度は獨自の歴史と文化を有つ別の世界であつて支那中心のアジアとは可成りかけ離れてゐる。此の意味から我々は印度史に關しては、特にそれが支那中心のアジアと密接な關係を有たぬ限り筆を省く事とした。
昭和十五年5月7日 編者 守屋美都雄識(薦姓吉川)
■形態:B6並 横12.8×縦18.7×厚2.6㎝ ブックカバー 函なし
■頁数:432頁+アジア民族興亡表付
■監修:東大教授/今井 登志喜
東大教授文學博士/和田 淸
東大教授文學博士/中村 孝也
■発行日:昭和十五年八月一日発行
■価格:二圓五十銭
■状態:カバー背上下スレ カバーヤケ・シミ・汚れ
天・地・小口ヤケ汚れ 中頁ヤケ・シミ・汚れ
見開きに本村文庫の烙印あり