1943年3月にチュニジア戦線で乗っていたスピットファイア機がドイツのメッサーシュミット機の機銃掃射を受け、パラシュートで脱出した後にドイツ軍の捕虜となったポール・ブリックヒルが、送られた捕虜収容所で体験した脱走計画の詳細を、戦後に一冊の本『The Great Escape』にまとめて出版した。
これを読んだジョン・スタージェス監督がすぐに映画化権を買い取り、自ら製作者も兼ねて作られたのが映画『大脱走』である。
製作・監督のジョン・スタージェスはこの当時『OK牧場の決斗』『老人と海』『荒野の七人』を撮って最も充実していた頃でこの映画が彼の代表作となった。
主演には当時テレビドラマ『拳銃無宿』で活躍して『荒野の七人』から映画スターとして頭角を表していたスティーブ・マックイーン、同じくテレビドラマ『マーベリック』で活躍していたジェームズ・ガーナーを起用した。
これに同じくテレビ界出身で『荒野の七人』にも出演したチャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、そして映画『戦場にかける橋』のジェームズ・ドナルド、英国俳優で後に映画監督として活躍したリチャード・アッテンボローなどが出演した。
デヴィッド・マッカラム はこの映画の出演時はまだ無名であった。
ジョン・スタージェスが好んで描いた「何があってもへこたれない不屈の男たちのドラマ」であり、また戦争映画のジャンルで脱走を描いた映画としては、他に『第十七捕虜収容所』『脱走特急』『木馬(英語版)』などがあるが、脱走物としてこの映画は最高作品として評価されている。
第36回アカデミー賞の編集賞にノミネートされた。
音楽はエルマー・バーンスタインで、彼が作曲した「大脱走マーチ」(The Great Escape March)は、当時ミッチ・ミラー合唱団が歌ってヒットし、また初公開時にスティーブ・マックイーンがドイツ軍から奪い取ったバイクで草原を疾走するシーンがその爽快さとともに話題となり、この映画の代表的なシーンとしてその後長く記憶されている。