のばらの村ではだれもが幸せになれる……勇気と冒険の物語。
秋もすっかりおわりのころでした。フラックスとリリィは、山のねずみたちの毛布を織るのでいそがしくしていました。アップルおじさんは寒くなるまえに、山のねずみたちに毛布をとどけなければならず、ウィルフレッドは、ついていきたくて、しかたありません。ウィルフレッドは、のばらの村のむこうの山には金(きん)があって、ついていけば発見できるかもしれないと考えたのです。
ウィルフレッドが岩かべをよじ登って、おりられなくなるまでは、なにもかも計画どおりに進みました。もやがたちのぼりはじめ、まもなくアップルおじさんとウィルフレッドは、こい白い霧につつまれ、帰る道がわからなくなってしまいました。
【ジル・バークレム】(作・絵)
1951年にロンドン郊外にあるエピングの森の近くで生まれた。ロンドンのセント・マーチンズ美術学院に学んだが、毎日ロンドン市内に通学するうちに、エピングの豊かな自然と生活をあらためて見直すようになり、それが『のばらの村のものがたり』シリーズとして実を結んだ。
1981年度第16回世界絵本作家原画展(至光社、丸善共催)みみずく賞、1982年度ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞。
【岸田衿子】(訳)
東京で生まれた。東京芸術大学油絵科卒業。詩人・童話作家。詩集に『ソナチネの木』、エッセイ集に『草色の切符を買って』、絵本・童話に『かばくん』『ジオジオのパンやさん』、訳書に『どろんここぶた』『カントリー・ダイアリー』『のばらの村のものがたり』シリーズなどがある。
第21回サンケイ児童出版文化賞大賞、ドイツ児童図書賞などを受賞。
経年によるカバーやけ、汚れは多少ありますが、中身はきれいだと思います