①グルック(ワーグナー編):歌劇『アウリスのイフィゲニア』序曲
②ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第1番 Op.138
③ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
指揮:オットー・クレンペラー
フィルハーモニア管弦楽団
録音:1960年①、1954年②、1963年③ ①③はステレオ
クレンペラーの芸風が強烈に刻印された驚くべき演奏。この指揮者ならではの徹底的にドライな方針が貫かれ、ベルリオーズが記した音符の数々が、そのままの膨大な情報量で聴き手にダイレクトに迫ってきます。標題音楽的要素にはほとんど関心が払われず、あくまでも“交響曲”として厳格に楽譜が扱われた結果、ここではあの第3楽章が実に意味深く、エモーショナルかつ色彩豊かな音楽として存在感たっぷりに響き渡るのです。特に太く美しい副次主題の刺激の強さや、常識的期待感への心地よい裏切りはクセになるほど魅力的。第4楽章・第5楽章での巨大かつ壮烈な迫力も見事というほかありません。『幻想交響曲』という巨大な枠組みの中で様々に機能する音の仕掛けが、作品のユニークな相貌を聴き手に強く印象付けるまさに稀有な名演といえるでしょう。オーケストラの楽器配置は、いつも通り第2ヴァイオリン右側の両翼型を採用し、各声部やその重なり具合が聴き取りやすい立体的で解像度高い音響を実現、さらに第2楽章にコルネットが入るヴァージョンを用いているのも興味深いところです。①のグルックの序曲もクレンペラー・ファンの間では、名演として名高いものです。
音楽評論家:宇野功芳氏
「クレンペラー盤は、最も遅いテンポで細部まで緻密に仕上げた純音楽的名演であり、ひびきの立派さは比類がない。第1楽章の沈み込むような静けさと深さ、上品なデリカシー、強弱のおどろくべきニュアンスはクレンペラーだけの世界だし、第2楽章もそれの延長だ。第3楽章も遅いテンポによる考え深い表現で、右側に配置されたセカンド・ヴァイオリンにずいぶんものをいわせているのが彼らしい。最後の第5楽章も特別な描写はいっさいないが、オーケストラをじっくり鳴らして立派なフィナーレにしているのはさすがだと思う。」
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