「疑われざる者」
1982年ハヤカワミステリ文庫版初版本
訳者: 沢村 灌
退役軍人フランシスは復讐を決意した。
狙いはもと演出家グランディスン─
この男こそ秘書であるフランシスの恋人を殺した殺人犯なのだ。
フランシスは、憎むべき男の家に身を寄せる娘マティルダが事故で行方不明と聞き、彼女の婚約者と称して殺人の証拠集めを始めた。
が、そのマティルダが生きて戻ってきた。
しかも追い撃ちをかけるように、動転したフランシスの命を狙ってついに殺人鬼が本性を現わしたのだ!
絶体絶命の窮地に陥ったフランシスを救うものは?
緊迫した追跡劇と女の微妙な心理を繊細な筆致で綴るサスペンス傑作。
改訳決定版!
サスペンスとは♪
この完成度は♪
と絶句させられます♪
「サムシング・ブルー」
1998年創元推理文庫版初版本
訳者: 森茂里
娘は、自分に巨額の財産があることも、両親が本当は事故死したのではないことも知らなかった。
そしてもちろん、婚約者の狙いが自分の財産であることも、その男が十七年前に自分の母親を殺した真犯人だということも、またわかっていなかった。
その事実を知った青年、ジョニーはかつての恋人を救おうと苦闘するのだが…
ジョニーは事件の真相を求め、南部の町ヘスティアへと旅立つ。
しかし、必死の捜査も、十七年という時間の壁と、娘の婚約者に対する熱い信頼の前には、無力にすぎないのだった・・・
“現代の魔女”と評された、
名手アームストロングの会心作。
彼女の作風は心理的描写によりサスペンス感を高めていくというやり方ではなく、登場人物の行動を通して生じるサスペンス感に重きを置いていて、異常者の登場するサイコ・スリラーでも、殺伐とした物語でもなく、「毒薬の小壜」では小壜の行方を、「始まりはギフトショップ」では豚の貯金箱の行方をめぐる争奪戦をテンポ良く描き出していて、結末も優しく心温まるもので、読後感の心地よいのも特徴のひとつです♪
軽々と我らの想像力の上をいく“筆力”は素晴らしいものかと♪
二冊とも経年劣化もさほどなく、古書レベルとしての本の状態は概ね良好かと♪