リリー・クラウス／シューベルト：即興曲集

シューベルト 即興曲集 作品90（全4曲） 即興曲集 作品142（全4曲） リリー・クラウス(ピアノ) 録音：1967年 音楽評論家：宇野功芳氏 「リリー・クラウスがステレオで残したアルバムの中で、どうしても記憶にとどめておきたいのが、実はこの作品90と作品142の２つの即興曲集を収めたアルバムである。」 賛辞はそれにとどまりません。宇野功芳氏は再三「チャーミング」という言葉で強く当盤を推していました。確かに、当盤の中には今日的には時代がかった表現があり、漂う気品に対し、当盤のそれは感情表現もやや型に収まったものかもしれません。現代の「即興曲集」録音、内田光子盤、あるいはツィマーマン、ルプー、ブレンデル、グルダ現代を代表する演奏にはない技巧の問題も当盤には存在します。それでも、この曲は、そうした技巧堅持の曲ではない。ソナタとは違う詩情、歌の世界の展開が望まれるものです。シュナーベルをはじめ、最初期のE.フィッシャー、たった２曲しかないリパッティ、ルプーが話題になるのであれば、ペライアも聴かなければいけない。すぐに数種が手もとに集まることでしょう。ソナタのような大きな形に収めるよりも、性格的小品に真価を発揮したシューベルト。ロマン派の時代はすでにソナタの量産の時代ではなく、この「即興曲集」の道を辿ることになりました。歌で問題になるのは、その節回しと、歌い手のパーソナリティです。これを絶美のものともせずとも、その歌は印象に残ります。数多の録音の点数がある昨今、演奏の成否はその一点、印象に残るか。音盤、あるいは出てくる音はともかく、現代の弾き手も、深い共感を示して曲を弾いている。表面は自然に流れていても、その背後には、ロマンの時代の情念があり、これが「冬の旅」とも時代を接していることは留意すべきです。 自由自在なテンポ設定でアクセントが強いにもかかわらず典雅で気品溢れる、彼女ならではの魅力に満ちた演奏です。彼女のモーツァルトが好きな方なら気に入って頂けると思います。シューベルト晩年の作品ですが、この演奏からは、死の影よりも命の輝きを強く感じます。 国内盤【廃盤】帯無し、盤面傷無し 14 ＊まとめ買い値引き致します(要事前コメント) 2枚購入→150円引き、3枚購入→300円引き 4枚購入→450円引き、10点以上は全品150円引き