ベートーヴェン
交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
指揮:ヘルマン・シェルヘン
ルガノ放送管弦楽団
録音:1965年2月 ルガノ・ライヴ
音楽評論家:宇野功芳氏
「シェルヘンの面白さはスタジオ録音とライヴ録音が別人のように違うことだろう。その差はフルトヴェングラー以上で、個性的ではあるが理性的なスタジオ録音の演奏に熱い火をつけて爆発させ、燃え上がらせたのがシェルヘンのライヴで、ルガノ放送管弦楽団のベートーヴェンは最も良い例といえよう。このエロイカは第1楽章が秀逸だ。まるで第7番のフィナーレのような短距離型の突進である。ライヴならではの即興的な表情が横溢し、音楽がたったいまシェルヘンの棒から生まれ出てくる。ときには前後の見境のないクレッシェンドもとび出すし、ホルンの音程がドキッとするほど低かったりもするが、この生々しい、汗の匂いがする演奏はベートーヴェンの原点といえる。」
それにしても、怒鳴ってる……。曲が始まってすぐに指揮者が大声でオケを叱咤激励する。最初は誇張だと思ったが、本当だった。フィナーレでも「1,2,3,4! 1,2,3,4!」と激しい声が飛んでいた。第1楽章ではまとまりの弱いアンサンブルだなと感じたが、飛んでくる声に象徴される指揮者の激しいパッションに応えようと、楽章を追うに従って楽員がひとつとなって燃え上がっていった。その結果、第2楽章からが良く、終楽章に至ってはものすごい情熱を込めて演奏しきっている。これはきれい事では済まされない生々しい音楽で心にガンガン迫ってくる。全体的にテンポが速くて激しく少し乱れがあるもので、繰り返し聞くのには適さないが、たまに聞くとガツンと良いパンチをもらうような刺激に溢れた演奏だと言える。
その迫力は生半可なものではない。まるでオーケストラの演奏の中に身を置くような生々しさで迫ってくる。音の大きさを誇る録音は幾らでもあるが、このCDのような繊細さと強さを感じた録音に接したことがない。倍音のたっぷり乗った合奏音はすこぶる美しく、汗が飛び散る雰囲気をかもす。気軽の聴けない気迫に満ちている。
国内初期盤【廃盤】帯無し、盤面傷無し 11
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