佐藤朔は、『悪の華』を初めて全訳したボードレール研究の第一人者で、コクトー、サルトル、カミュらの20世紀文学の日本への紹介にも尽力した仏文学者。
本書は、1956年に渡仏、欧米に滞在した際の紀行文。
カミュをはじめとする小説家・詩人たちとの交流、当時最新の文壇情報を記すとともに、パリで過ごした日々、北欧・イギリス・アメリカを回った際の印象を、しなやかな文章で綴っている。
表紙や本文を飾るカットも、内容とよく合い、とてもしゃれている。装幀、高畠達四郎。
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パリには新本・古本を商う店はじつに多い。僕はソルボンヌ近くの学生街のパンシオンに暮らしていたが、どこの通りにも学校があり、本屋がある感じだった。(略)
主人となかよくなるとのんきなもので、タバコをすいながらいつまでも閑談に耽っていられる。(略)
パリには詩人で本屋をやっているのが、何人もいる。知り合いになると誰もが親切で、一割引してくれた。もっとも僕が本を集めることが仕事だからずい分買うことも買ったので、いいお得意だったのだろう。(「セーヌ河畔みぎひだり」より抜粋)
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◎Contents
パリで観た芝居
セーヌ河畔みぎひだり
シャンソン・手品・サーカス
ピカソの前夫人
サルトル騒ぎ
カミュの『亡命と王国』
ジャン・コクトオ
詩人の目 — ボードレールとアラゴン
オスロの印象
ロンドンの憂鬱
イタリー漫遊記
アメリカ横断
僕とカメラ ほか
橋下徹さんの『公園通りみぎひだり』の元ネタ
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