『夜明けへの道』の、あまりにも豪華なパンフレット
ミャンマーのドキュメンタリー映画『夜明けへの道』の、あまりにも豪華なパンフレットが、届いた。
私もコメントしたので、送ってきてくれた。
かなりの部分をスマホで撮影した、相当荒っぽい、しかも食事シーンがむやみに多い、体裁としては、粗くて、素朴な、『オッペンハイマー』の一万分の一くらいの予算(たぶん)で撮られているはずの映画なのだが、パンフレットは『オッペンハイマー』に負けないくらい重厚だ(たぶん)。
関わる人々の、配給・太秦の、思いが詰まっている。
それは、映画にあらわれるミャンマーの人たちの生命のために、である。
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この映画が、この監督が、ここに存在することじたいが、希望である。ウクライナ、パレスチナだけでなく、理不尽な武力に蹂躙される人たちのため、私たちに何ができるのか。インターネットやスマートフォンの時代になっても、生身の人間が抗うということの根源を、突きつけられる思いだ。
坂手洋二(劇作家・演出家)
4月27日 全国公開。
写真は、コ・パウ監督。
解説
かつてビルマと呼ばれたミャンマーで、2021年2月1日早朝、国軍によるクーデターが発生。ミャンマーの現代史においては3回目となるクーデターだ。1回目は初めての軍政時代を導入した1962年3月、2回目は第二軍政期のきっかけとなった1988年9月である。そして2011年、長きにわたる軍事政権から民主化に大きく舵を切った。その後の10年、市民は自由と民主主義への希望を抱き始めていた。しかし今回のクーデターにより、一夜にして世界は転覆した。軍は前年の総選挙での不正を口実に、アウンサンスーチー国家顧問ら民主派政権の幹部を拘束、非常事態を宣言して全権を掌握。反発した市民の抗議デモは武力闘争に発展し、人々の自由と平穏な暮らしは崩れていった。3年が経つ現在でも一部少数民族と連携し、国軍との戦闘が激化している。地元人権団体によるとクーデター後、4500人近い市民が国軍に殺害され、計約2万6000人が拘束、避難民は約230万人にのぼる。