シベリウス
①ソナチネ第1番
②ソナチネ第2番
③ソナチネ第3番
④キュッリッキ (ピアノのための3つの抒情的小品)
グレン・グールド (ピアノ)
録音:1976年、1977年
グールド の冴え冴えと澄んだ音彩が美しい演奏です。遅めのテンポで奏された透徹した表現は、ソナチネというタイトルにはそぐわない印象もありますが、これらの作品がもつ北国の神秘的な世界をこれほど見事に再現した演奏はないと思います。まさに極北の孤独を愛するグールドの内奥のつぶやきが、そのまま音となって凍てついた雪原に木霊するような名演です。
グールドというと、バッハから入り、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、ハイドンといった名演・名盤を聴いていく。それが終わると、自分なりに周辺ディスクに移っていく。周辺だと思って聴きはじめると、それは周辺ではなく、まぎれもなく自分にとって中心地帯だと気づく。シベリウスのソナチネ・アルバムは、そうした1枚。冒頭、遠くから近づいてくる足音のように、ピアノが聞こえてくる。そう思っていると、途中からトイ・ピアノのような音色になったりする。グールドは、複数のポジションにマイクを立て、同一演奏を、違った響きで録音した。たゆとう旋律は、ピアノに近づいた通常音だけでなく、誰もいない邸宅で鳴っているような不思議な音色に変わる。曲の途中で突然、作為的に変わるのではない。ゆっくり自然な形でなされる。こうした工夫は、今まで聴いたレコードやCDの中で、経験したことがない。曲のどの箇所に、どの響きの演奏を採用するかは、グールドによって選択され、決められた。それが奇を衒った小細工になっていないところがこのアルバムの美点で、演奏は、聴いていて、安心できる、立派なピアノ・ミュージック。ゆったりと、ほっとできるのは、グールド自身が憩っているような演奏をしているから。バッハやモーツァルトは神経の塊のような現代的緊張感に満ちているが、フィンランドの作曲家の作品は、グールドにとって憧れを誘う世界であるらしく、力でねじ伏せるような箇所はどこにもない。鼻唄もほとんど出てこない。
輸入盤、盤面傷無し 11
プラケース少しすれあり
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