インドネシアの島々では各々の島の風土が生んだ「布」が作られる。
イカット(絣)ではsumba島のヒンギーと呼ばれる布には視覚と心を引く力強さがある。
精霊神を祀る彼らの家屋のとんがり屋根。
神の住まう巨大な屋根の下に間借りしているに過ぎないという死生観。祖先崇拝を信仰する人々が暮らす島のイカットには現世と来世を繋ぐシンボリックな生き物がユーモラスにデフォルメされて織り込まれている。
生々しい流血の闘いの勝利の象徴、首架台にしても恐ろしさや残忍さをさほど想起させない。お月見の供物の団子のように首が積み重ねられていてもである。
布に込められているメッセージがとりわけエキセントリック(風変わり)。
暗号を読み解くように織り込まれたモチーフの語りかける意味を汲み取る面白さは、sumba イカットならではの持ち味でもある。
しかし、四つ足動物がデフォルメされると、なかなか特定するのは難しい。
その中にあって「馬」はよく分かる。
「sumba 」と言えば「馬」と言うほどにスンバ島の人々の暮らしと馬は密接な関係があると言う。
バリ島の南東にあって航路では1時間の位置にある島に「馬」???
モンゴルにルーツを持つポニー種は、貿易の為に中国がもたらしたらしい。アラビア種、オランダが持ち込んだヨーロッパ種との交配種は気象変化に強い駿馬で日本へも輸出されている。
イカットに織り込まれている「馬」は死者の乗り物なので主人が死ぬと馬は殉死しなければならないそう。
島の人々は死後にも彼らが暮らした同じ「村」があると信じているので生前に乗っていた馬と一緒に向こうの世界へ行くのは全く理にかなっている。
そういえば、、、バリ島滞在中に子供達がポニーが引く馬車に乗りたがったので街の一角を一回りしてもらったことを思い出した。
sumba 島から来たポニーだ、きっと!
40年前にバリ島で購入
製造年は不明