会場:刈谷市美術館
会期:平成10年4月25日~5月17日
1908(明治41)年愛知県一宮市に生まれた筧 忠治(かけひ ちゅうじ)は、幼い頃、名古屋に転居し、以来当地に在住しています。高等小学校卒業後、愛知県測候所(現・名古屋地方気象台)に勤めはじめ、16歳の頃、帝展の若手作家として活躍していた松下春雄と出会い、サンサシオンの美術研究所に通うようになります。
しかし、自分の求める方向性との違いを感じた筧は、翌年には中部画壇の先駆者のひとりである鈴木不知の研究所に移り、そこで目にした画集を通じてレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、デューラーといった画家たちの仕事に大きな影響を受けました。不知の研究所を去った後は、数回公募展に出品しますが、独学ともいえる画道をひたむきに歩んできました。
この展覧会は、独自の絵画世界を展開しながらも、ほとんど作品を発表することがなかった筧忠治の初の全貌展です。初期からの画業の歩みを自画像、肖像、風景、猫、静物などの代表的な作品約100点によって紹介しました。初期から描き続けている自画像は、インクや木炭、墨などで描かれ、自らの内面までもえぐり出すように表現されています。その膨大な作品群には素描と本絵という概念をはるかに超えた真の力がみなぎり、対峙する者を圧倒的な迫力で見据えます。
★出品の際に実物を撮影し掲載しております★
◯小口(天・地・腹)と背:研磨痕・極軽い経年ヤケ(日焼け)・軽い擦れ汚れと傷(当り傷)、背の上角に潰れ傷あり。
◯オモテ裏表紙:極軽い経年ヤケ(日焼け)とシミ・軽い擦れ汚れあり。
◯本文・譜面:一部に極軽い持ちシワ・縁に極軽い経年ヤケ(日焼け)あり。