《八百比丘尼》
福井県をはじめ全国各地に伝わる不老不死の少女の伝説、八百比丘尼をテーマにしています。
八百比丘尼は人魚の肉を食べて永遠の命を手に入れた、
「命短し恋せよ乙女」というフレーズが全く当てはまらない女の子です。
彼女は誰よりも長生きし、若く美しい姿であちこちを旅した。そしてあらゆる人と永訣しました。
カレンダーの中のどこかの一日、誰かの大切な一日、何でもない一日、
うれしい日、悲しい日、その全ての日々を今も八百比丘尼は生きているかもしれません。
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【価格】18,700円
【素材】シルク 100%(ドライクリーニング推奨)
【サイズ】100cm×100cm
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彼女が生きた永遠の時間をカレンダーにしました。
大切な人の写真を入れるロケット、家族の肖像を彫るカメオのフレーム。
三十一の日々、十二の月、旅のためのボストン・バッグやカメラ、
故郷の海の生き物たちが大切な思い出とともに額縁に収められています。
その隙間を人魚が泳いでいます。
三角形のロゴマークと三角形の箱でお届けします。
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【八百比丘尼】
若狭の漁村に一人の少女が暮らしていた。少女は普通の家庭に生まれ、普通の名前を持ち、大切に育てられた。
ある夜、村の集会で妙なものが振舞われた。浜に打ち上げられた人魚の肉を干したもので、食べた者は不老不死になるという。誰一人手をつけず、余った肉は土産として少女の父親が持ち帰ることになった。父親が隠しておいたその肉を、少女は見つけてしまった。不思議な空腹に襲われ、一切れ口へ運ぶ。それは少女が今までに食べたどんな肉よりも美味だった。気づけば肉は全て少女の腹に収められていた。
異変は少しずつ顕現していった。月日が流れ、幼なじみが大人になっても少女は成長しなかった。幼なじみたちはいつまでも若々しい少女を羨ましがり、少女自身も悪い気はしない。肌は光り輝き、髪はつやつやと垂れた。
しかし五年、十年と経つにつれ、少女は村中で不気味がられるようになった。
結婚したが、夫は早世した。すぐに再婚の話が持ち上がり、次の夫と結ばれる。また先立たれる。三番目の夫、四番目の夫。五番目。六番目。やさしい両親。みんな少女を残していなくなってしまった。
幼い頃から同じ時間を生きてきた人間はもう誰一人この世にいない。生まれ育った村を去り、少女は一人で旅に出た。永遠の眠りを求め放浪する少女は、旅先で自分とは反対に永遠の命を求めて苦しむ人々と出会い、比丘尼となる。
いつしか彼女は無限の時間を生きる比丘尼、八百比丘尼と呼ばれるようになった。
【素材】シルク 100%(ドライクリーニング推奨)