松尾芭蕉(1644―1694)は江戸前期の俳人で、蕉風と呼ばれる芸術性の極めて高い句風を確立し、俳聖として世界的にも知られる、日本史上最高の俳諧師の一人です。
芭蕉は、小説、浄瑠璃、俳諧の分野を代表する三大文豪としても評価されています。
また、芭蕉自身の自己評価も高く、己がつながる伝統を先人のうえに数え上げ、「西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の絵における、利休が茶における、其貫道する物は一なり」といいきり、文学だけにとどまらず、絵や茶も視野にいれ、いわゆる風雅全般の継承者として、自分を任じていたとされます。
代表作には江戸を発ち、東北から北陸を経て美濃国の大垣までを巡った旅を記した紀行文「おくのほそ道」が特に有名です。