本作品の作者とされるマルセル・デュシャンは、自らの大量生産された既製品を用いた一連のオブジェ作品を「レディメイド」と名付けましたが、1917年に制作されたこの泉という作品も同様に、既製品の磁器の男性用小便器を横に倒し、"R.Mutt"という署名をしたものに「Fountain / 泉 」というタイトルを付けた作品です。
近年の研究で、デュシャンの作品の多くは、ドイツの芸術家・詩人の女性、エルザ・フォン・フライターク=ローリングホーフェンが制作したものだと考えられています。
この作品は「芸術の概念や制度自体を問い直す作品として、現代アートの出発点」との評価がなされており、伝統的な彫刻形式をはみ出した造形作品としての"オブジェ"の認識は本作から始まったとされています。
既製品の小便器にサインをしたものが芸術作品として作られてから、約100年という時を経て、小便器の形をしたクッキー手作りで焼いて食べるという行為が、いったいどのような意味をもつのか考えながら作ってみてはいかがでしょうか?