着物や帯の仕立て方の一つに、切嵌(きりばめ)という面白い手法があります。
パッチワークのように生地を接ぎ合わせたり、あるいはアップリケのように生地の上に縫い付けていく。
それぞれの生地が持つ個性を一層引き立てるといった感じでしょうか。
室町時代の末期、婆沙羅(ばさら)と呼ばれる、今で言う「飛んでる若者たち」が、抜きん出る個性を求めて、切嵌めで仕立てた小袖や羽織などを流行させてから今日まで、粋人たちの根強い支持を受け続ける和の装いのひとつです。
紋意匠を浮かび上がらせた紅鬱金(べにうこん)色のコート生地に、漆黒に流水とお花が描かれた友禅染めの小紋を接ぎ合わせました。
大見栄を張るような派手さとは趣を異にした、端正且つユニークな和着が仕立てあがりました。
おとなしそうに見えて、実は大胆。
ぜひお召しになって、小さな見えを切っていただきたいところです。
お洗濯ですが、接ぎ合わせの妙を損じることのないよう、信頼のおけるクリーニング屋さんにお任せいただくことをお勧めします。
どうぞ、長く「おうちで和着」をお楽しみいただけますように。
追記のサイズ
袖丈 32㎝
袖口 15㎝
衿幅 上 5㎝
下 8㎝
紐の長さ 外紐 52㎝
内紐 46㎝