ブラームスの声楽曲は大人の音楽だ。若いころに聴くとなんだか退屈で聴き通すのに苦労をしたものだ。人生を歩み世の厳しさやいろんな経験を経ると違って聴こえてくるからだ。旋律も渋い、大きな爆発も少ない、人の世の機微を感じる音楽はまさにこのような曲を言うのだろうか。歌手陣はW・リップ(S)、F・クラス(Bs)、2人とも派手さはないが通好みの歌を聴かせている。なんといってもサヴァリッシュ指揮のウィーン響の演奏が素晴らしい。ライナーノートの宇野功芳氏も書いているが、「知情兼備」「抑制の中に豊かな感情がある」との表現がまさに当てはまるからだ。秋の夜長に最適な曲想と演奏だと思う。
●注意事項● 音質は良好、ノイズは一部あります。