羯磨(かつま)は密教において、壇の四隅に安置される法具です。それによって外から魔が入ることを防ぐとともに、「事業成就」をはかるためとしていて、秘密のベールに包まれた密教の叡智の一旦なのです。
真言八祖のひとり善無畏三蔵が翻訳した『蘇悉地経』は、羯磨をはじめとする密教法具の力について、「よく諸余の事等を成就させる」「この金剛杵を持さば、一切の毘那夜伽(びなやか)の障難を作する者、悉(ことごと)く皆恐怖馳散し去る」「よく成就させる」と説いています。
本作品は、原型師として名高い埒孝美師が、名品として名高い奈良・室生寺の羯磨(鎌倉時代作)を元に丹精込めて作り上げた逸品です。材質は「富貴を求めば、純ら銀で作れ」という「蘇婆呼童子経」の教えに従い純銀を使用し、長期の使用で変色することのないようロジウムコーティングを施してあります。
埒孝美作「カツマネックレス」は、心強い御守りとなることでしょう。