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芸術の世界では“若い”という言葉は“未熟”を連想させるためか、どちらかというとあまり歓迎されない。しかし、このディスクの反田+バッティストーニのゴールデン・コンビには、“若い”は利点しか存在しないばりか、若さを超越したものをも感じさせる。何か大きなものを“打ち立てた”と言っても良いだろう。作品はいずれもラフマニノフだが、最初のピアノ協奏曲はイタリアでのセッション録音で、「狂詩曲」の方はライヴである。内容が異なるので単純には比較出来ないが、セッションとライヴの違いがまことにくっきりと浮かび上がった、素晴らしい演奏である。 まず、ピアノ協奏曲第2番。反田は柔らかく、ていねいに歌い始める。少しずつ音量が上げられるのと同時に、ピアノ全体の鳴りを確かめるように、しっかりと打鍵される。そこにバッティストーニのオーケストラがからんで来るのだが、この音の何と芳醇なことか。過去のディスクでこの冒頭がこんなに壮麗に、瑞々しく響いた例はあるまい。その後のピアノ・ソロは微妙にゆれる心を、あるいは不安と焦燥、美しいものへのあこがれ、そして燃えさかる情熱の炎を見事に描き分けている。その反田のソロを、ある時は大きく包み込み、また別の時はそっと影のように忍び寄ったりするバッティストーニにも、満点を献上したい。 第2楽章も、ため息のように始まるのが、何とも絶妙だ。ゆったりと、非常に柔らかい伴奏に乗って、反田も万感の思いを込めたように、繊細の限りを尽くしている。木管楽器のソロにも細心の注意が払われているし、チェロを始め、弦楽器のしっとりとした音色もまた最高である。若きバッティストーニが、こんなに見事にオーケストラを統率しているとは全く驚きである。 第3楽章もピアノ・ソロ、伴奏ともに若々しさ、スケールの大きさ、豊かな色彩感が見事にバランスされている。全体的に言えることは、ピアニスト、指揮者、オーケストラが一体となって練り上げるセッション録音の良さが最高度に発揮されたものだろう。録音も最優秀で、近年録音されたこの曲の最上位にランクされるものだ。「パガニーニの主題による狂詩曲」はライヴ録音である。この日、私は客席にいた。鋼のような強さと、野生動物的な俊敏さを備えた反田のソロは印象的だったが、オーケストラを含めた全体の出来栄えはディスクの方が良いくらいだ。とにかく、ここではライヴの一発勝負の気迫に溢れ、鍵盤上を自在に駆け巡る反田が思う存分堪能出来る。バッティストーニの指揮も熱っぽさ満開だが、しっかりと手綱をしめた、きりりと引き締まった表情はさすがである。協奏曲はRAI国立交響楽団で、こちらは東京フィルハーモニーだが、東京フィルはRAIと比べて何の遜色もない。おそらくオーケストラ名を伏せれば、多くの人は同じ団体のセッションとライヴと思い込むだろう。反田とバッティストーニ、予測不能な若き怪物2人、当分の間、目が離せそうにない。音楽評論家 平林直哉 反田恭平「ラフマニノフ」ライナーノーツより

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