昭和58年 昭和18年の復刻 120ページ
梵字の伝来とその学修 種子・真言と上代人の信仰 梵字の基本・魔多・体文 梵字の切継十八章 古遺物にみる実例
我々の祖先の残した古文化遺物全般に亘って、梵字の現わされているものは頗る多い。此等の梵字はそれぞれの遺物の主要な内容であり、不離の関係をもつものである。これを等閑視しては皮相を知って内実を見失うこととなる。これに気付かれて近来梵字を重視する傾向の生じたことは、当然のことながら喜ぶべきことである。
然るに梵字は古来密教家の深秘とする所であり、一般研究家がこれを学習し理解し得るに適当な書物がなかった。私の梵字学習は最初恩師天沼俊一博士や大脇正一先生より折に触れて教えられ、更に吉祥真雄先生から系統的な指導を受け、これを基礎として日々の古遺物研究に際し実物に当って習得考究して来たものである。私の体験では近時仏教家の間に行われて
いる梵字知識だけでは、古遺物に見る梵字は理解され難い。我々が身を以ってこれを研究するところに、自ら道は開けてくるのである。既に梵字は仏教家のみの学習すべきものでなく、我々としてこれを歴史考古学の対象として、独自の立場に於いて取扱わねばならぬことを痛感するのである。従って研究家に対する梵字参考書としては、あくまでも古遺物の実際に即したものが必要となってくる。
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