植村直己の冒険 (朝日文庫)

●『植村直己の冒険 (朝日文庫) 』 本多 勝一 (編集), 武田 文男 (編集) ‏ 出版 : ‎ 朝日新聞社 (1991年10月01日初版) 文庫本サイズ : ‎ 14.8×10.8×1.3cm。291ページ。 ●【購読者レビュー】 植村直己という冒険家についての各評論と対談。冒険に必要な資金を集める為に商業主義へと陥る事への批判は頷けるものがあった。そして伝わって来る植村直己の人柄にはとても興味が湧いた。もっと自由な環境で縛りのない状態で冒険に専念する事が出来ていれば歴史を変えていたのではないかという気がして残念な心持ちとなった。 確か新谷暁生がこの本での本多勝一の植村論をDisっていたが、確かにあまりいいやり方ではないかな。結論ありきでインタビューを誘導するのは気分悪い。だったら自分のエッセイで書けばいいのに。それはともかく、登山界としては、こういう冒険論の文脈で栗城史多の立ち位置をまともに定位する必要があるように思うのだが。 ●北極点・グリーンランド単独行からがおかしくなったのではないか、植村は自分の夢目標が大きくなるにつれて冒険費用を捻出できず、電通や文藝春秋といった大手\企業スポンサーの手を借りることになった。広告会社を利用するつもりが、利用されてしまった。冒険も失敗は絶対許されない企業側の成功意向や重圧に耐えきれず、現地での進退の判断を曇らせたのではないか、と鋭い指摘がされている。 飛行機からの補給では食料以外に、犬やソリまでもが支給された。極地についてからグリーンランド北端の移動は飛行機になってしまった、というなんともお粗末な冒険になった。 その後、エベレストでも隊員を亡くし失敗し、南極もかなわず、ほとんど誰にも告げずに向かったマッキンリーで植村直己は遭難する。マッキンリーでの装備に関しても本書は厳しい目を向ける。現代にあって冒険とは何か、探検家の資質とは何かを研究するには価値ある一冊かと思います。 ●【書籍の中古状態など】▼植村さんの遭難直後2年後の評論エッセイなので出版30年あまりの古書になります。カバー表面の擦れ、くすみ、背表紙近辺の色あせ。紙質劣化や長期経年保管により。本編内容誌面や天地側面の日焼けや褐色セピアが進行しています。▼側面にシミあります。写真10枚目ほか参照ください。きれいなもの新同本ご希望の方にはNGかと...。