#手提箱 #たばこ盆 #硯箱 #茶箱
2000年発行 全124ページ
■本書序文■
木の持つ様々な色、木目の面白さを生かし、細かな文様で家具や調度品を飾る寄木細工の展覧会を開催します。
寄木細工は、江戸時代のはじめに駿河の地で生まれました。
寛永11年(1634)、徳川家光が賎機山麓に浅間神社を造営するにあたって、全国から職人を集めました。
その内、造営後も当地に残った職人たちが駿河の伝統的工芸の基を作りました。
この時、漆職人たちによって様々な木を寄せ集めて漆で仕上げる「寄木塗り」が作り出され、これが寄木細工の始まりといわれています。
寄木細工は、色や木目の異なる木片を三角や四角に整えて継ぎ合わせ、その断面を飽で薄く削ってできた「経木」を器面に貼っていきます。
この技法は正倉院宝物の木画箱などにその源流をみることができる、古来の技でもあります。
現在静岡で寄木細工を作る人はごくわずかになりました。
しかし、江戸時代の後期、寄木細工は箱根に伝えられ、今や同地の伝統産業として広く親しまれています。
また寄木細工は幕末から明治時代にかけて、盛んに海外へも輸出されました。
明治6年ウィーンの万国博覧会では進歩賞牌を受けるなど、木の美しさや緻密な木工技術は海のかなたでも愛されたことがわかります。
本展は世界的に著名な寄木細工のコレクションから、輸出用に作られ里帰りした家具など、160点を展示するものです。
細密な技だけでなく、職人の粋な心意気が感じられる寄木細工の世界をご鑑賞下さい。
状態:中古 概ね良好