太陽と花園　秋田雨雀

名著復刻　日本児童文学館 太陽と花園 秋田雨雀著 ほるぷ出版　昭和52年3月復刻 約12.6cm×18.6cm　206P ＊大正10年7月18日刊 精華書院版の複刻版 秋田雨雀による童話集。第一童話集『東の子供へ』に続く第二童話集。 　小説家であり、劇作家でもあった秋田雨雀。創作活動の出発点は早稲田大学在学中に新体詩集《黎明》を坪内逍遥の序文を得て自費出版したところからです。卒業後、《早稲田文学》《文章世界》などに小説、戯曲を発表。沢田正二郎らの美術劇場で上演した『埋 (うずも) れた春』 (1913) で脚光を浴びました。のちプロレタリア芸術運動に参加、プロレタリア演劇運動の中心的存在としても活躍した人物です。童話の執筆を精力的に行なったのは1920年前後の数年のことですが、1950年には日本児童文学者協会第2代会長に就任するなど、児童文学界においても一定の地位を築いています。 『太陽と花園』には秋田自身による巻頭エッセイ「永遠の子供―童話の成因に就いて―」が収録されています。「童話は形式としては、大人が児童に読ませるものであるが、もう一歩見方を拡げて考へると、大人が『大人自身の子供の性質』に読ませるもの、精しく言へば人類が人類自身の『永遠の子供』（エターナルチャイルドフード）に読ませる為に書くものだともいへる。“eternal childhood"―私達は実に永遠の子供なのである。」とあるように、秋田は童話を創作しながらも、大人にこそ読まれるべきものとして発表していたことがうかがえます。ぜひ、大人の方にこそ読んでいただきたい一冊です。 装丁は工藤新太郎。挿画は早川桂太郎によるもの。 　経年によるしみがあります、写真をご覧ください。 　古書籍にご理解いただける方の利用をお願いします。