ノーメンクラツーラ : ソヴィエトの赤い貴族

「ノーメンクラツーラ : ソヴィエトの赤い貴族」 ミハイル・S・ヴォスレンスキー / 佐久間穆 定価: - 1980年度のヨーロッパ 最大のベストセラー レーニンとスターリンが生 命を吹き込んだ 「新しい階級」 は、 クレムリン政治の動向を左右する少数特権階級の赤い貴族に変貌し、いま世界支配の野望を抱く! ノーメンクラツーラは、搾取をこととする特権階 級なのである。この階級は、権力によって富を手 にする。富によって権力を手にするのではない。 ノーメンクラツーラ国家の政治は、内政面ではそ の独裁権力を強化することにあり、外交面では全 世界にこの体制を拡大することにある。 ... ノー メンクラツーラは、日一日と寄生階級になりつづ けており、社会にとって歴史的にみるとそろばん の合わぬ存在である。 そして、世界を支配しよう とするその不逞な野心は、まさしく世界戦争の危 機をはらむものである。この危機を封じるため、 モスクワに支配されていない世界は、平和と安全 のための断固たる政策、幻想と恐怖にとらわれぬ 政策をとる必要がある。(著者「結び」より) 　この本でとりあげているノーメンクラツーラは、簡単にいうと、ソヴィエトなど現存社会主義国家の各種党機関の権限を精密に規定したリストのことである。だが、その意味するところは、 単にそのリストにとどまらない。このリストに記載された職務についている党員エリートの集合体を指している。この集合体が、現存社会主義国家を管 理し、支配しているのである。 　ヴォスレンスキーは、ソヴィエトの支配階級ノーメンクラツーラの成員を七〇万人と推計している。この七〇万人はすべてソヴィエト共産党員であるが、党員総数一七〇〇万人の四パーセ ントにすぎない存在だ。(中略) 　ここに描かれたソヴィエトの姿はなんともやり切れないものである。この印象は、この本が博引旁証、非常に豊かな専門知識で裏打ちされている一方、虚構と特権と汚職で固まったソヴィエト支配層に、国を愛するもと一市民がつきつけた怒りの書でもあることを物語っている。 (「訳者あとがき」より) ★経年保管時の点シミ等の劣化あります