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甘い蜜の部屋 恋人たちの森 森茉莉作 新潮現代文学62 新潮社

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ぽんちゃん
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★昭和56年発行の大変古い本です。 ★経年の為、箱にスレ汚れ、ヤケがございます。 ★本体は布装丁の上製本で、三方にごく薄いヤケと、ごく薄いシミ有りです。40年の経年に比して、綺麗な状態と存じます。  森茉莉氏、大好きな作家様です。文豪森鴎外の御息女である事は、余りに有名です。  鴎外の高瀬舟は教科書でもお馴染みですが、この森茉莉氏の「甘い蜜の部屋」、大好きな作品なのですが、こちらはさすがに教科書には載せられないでしょうなあ。  母を赤子の時に亡くし、父親の男手一つで育てられた娘、と言うと、可哀想!と思いがちですが、主人公の少女モイラは全く当てはまりません。  貿易商社を経営する、資産家で知的な父親に、甘やかされ放題に育ったモイラ。常に最上等の服(ドイツから取り寄せた、アンティークドールが着るような素敵なワンピースや帽子、アクセサリー)を着て、使用人達や、家庭教師に取り囲まれた貴族のような暮らしです。  明治の当時、外国から何かを取り寄せることが出来る人、どれくらい居たのでしょうか。口煩い女親は無し、超美少女に生まれ付いて、汗の匂いが花の香りで、父親がとんでもなく甘いと来ては、我儘にならずに居られないでしょう。  更に、モイラは人に対する思いやりが幼児程にも有りません。というか、自分以外の人間に対する、興味も愛情も無いのです。唯一、父親にだけは懐いていますが、これも父親の為に何かする、とかでは無いので。  という訳で、正直、どなたかの手本になるような人格的素養はゼロに近い。まあ、この人に付き合えるのは、可愛い女性に尽くすのが大好き、報われないとワクワクしちゃう、そんな人だけでしょうなあ。  でも、全ての描写が美しく、香りや温度まで伝わってくるような、広い歴史ある洋館の、磨き抜かれた床を革靴で歩く音が聞こえるような作品なのです。  モイラは周りの男性全てを虜にしながら成長していき、16で結婚、でも旦那さんが鬱になって自殺、またお父さんの所へ戻って終わり、となっています。最後に父親の元に戻る所、本当は森茉莉氏が離婚後、パッパ(鴎外)の元に帰りたかったんだろうな、と伺えるラストシーンです。  長期個人保管の大変古い本です。状態は、上記★書きと、画像よりご判断下さい。  古い本にご理解のある方との、嬉しいご縁を心よりお待ち致しております。
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