サボテン王女　マルクウ作　世界少女名作全集　講談社

昭和42年発行の大変古い本です。 このシリーズは、製本、サイズ、挿絵全ての面でとても可愛らしい作りになっていて、大好きな全集です。 　こちらは、フランス人作家らしい、女性の褒められるべき特質として、「勇気」を重んじる内容となっています。 　この時代（1954年発表）は、世界大戦後まだ9年しかたっていず、作者自身が1920年パリ生まれの生粋のフランス人とくれば、やや人種的偏見を感じるのは、致し方ないのかなと思います。 　舞台はフランス領チュニジア、遊牧民の娘メサウダが恵まれない少女として主人公ジャニレーヌの対比的存在として描かれます。独立運動家フェラガは当然悪者です。フランス領、では無く、わざわざフランス保護領、とされているのが、今の常識からすると、とても上から目線に感じます。 　社会的な感覚のズレを置いておけば、主人公ジャニレーヌは、等身大の10代で、独立独歩自分の信念を持って動く、好感を抱けるヒロインです。 　改めて、世界は時間をかけて、成熟した思考法を学んで来たのだなと感じる小説です。 個人保管の古い本です。外箱、本代背表紙に傷が有ります。経年の割には本代ページは綺麗と存じますが、どうぞ画像よりご判断ください。 　古い本にご理解の有る方との嬉しいご縁を心よりお待ち致しております。