J.P. ネットル著作 ローザ・ルクセンブルク上下二冊 河出書房新社
(上)1974年11月初版発行
(下)1975年1月初版発行
ルカーチ著作集9 歴史と階級意識
訳者 城塚登・古田光氏
白水社1974年第四刷発行
本の状態はいずれも函に経年の変色、しみ,
角の先端の小さな破れなどがあり,本体の書物も
相応の経年変色があるが全体を通じて良い
清潔な状態に留まっている。唯一ルクセンブルク
上巻の著者ネットルの序文の後に数字の書き込みが読める,
ローザ・ルクセンブルクは20世紀初頭の革命家。1871年ポーランドの裕福なユダヤ人家庭
に生まれ高い教養を身につけたが,高校時代
には既にポーランドの地下社会主義政党に入党、スイスのチューリッヒ大学哲学科に入学。
偽装結婚でドイツで市民権を得てマルクス主義者の論客として活動。ドイツ共産党を創立。
1919年1月革命推進派として反乱労働者を
領導中に政府内の元来同陣営に殺害された。
ジェルジュ・ルカーチは20世紀前半から中ば
過ぎまで主に社会-政治-文芸-思想と多岐に渡り
多産に著作を世に出し戦後大成した思想家。
1885年ハンガリーの富裕な銀行家で爵位まで得るユダヤ人名家に生まれた。カントやヘーゲルなどドイツ哲学の影響を受け、やはり20世紀初頭のドイツに留学し文芸評論、哲学批評などを通じてエルンスト・ブロッホのような哲学者やマン
兄弟のような文学者の支持を得た。マルクス主義者になったのはロシア革命をきっかけに中心指導者のレーニンと知り合ってからであるということだが第一次大戦から第二次世界大戦に続く激動と混乱のヨーロッパで共産主義という思想の大河の流れに呑まれ間違えれば生命を落としかねないリスクを何度も生き延びて来れた大幸運の持ち主。
スターリンの粛清も危機一髪のところで、
しかも常に友人達の助けを受けて逃れている。
戦後も何かと思想の相違から生命さえ奪われる
ソ連東欧共産政治体制のなかの故国ハンガリーで大学教授ほか教育文化機関で貢献しながら
追放の憂き目にも遭いながらも最終的に復帰し
社会での地位を確保できたのは政治一筋では
ない多くの分野で頭脳が発揮された逸材だった
からかもしれない。
比較はおかしいかもしれないが同時代の一時期を共有し非業の死を遂げたローザ・ルクセンブルクとの差をひと際強く感じる。