陽だまりの樹 BIG COMIC WIDE 全6巻
著 手塚治虫
あらすじ
主人公の万二郎は無骨で真面目、退屈なお勤めに疑問も抱かず、登城のマラソンもいつも一番という、平時の武士として見本のような男であった。一方、もう一人の主人公である蘭方医の良庵は、医師の家に生まれて大坂適塾で医師の門をくぐったエリートだが、江戸に戻っても放蕩ぶりが父の良仙に厳しく戒められるほどの遊び人。江戸っ子らしく間口は広いが封建的で権力闘争に終始する医学界には批判的であり、また人間らしく生きたいとする夢想家のノンポリとして時代を眺めている。対照的な万二郎と良庵だがなぜか二人はウマが合った。
安政の大地震に際して被災者を誘導し無事に避難させたことから阿部正弘の目に留まった万二郎は、アメリカ総領事タウンゼント・ハリスへ幕府側からの護衛として派遣され、友人となる通訳ヘンリー・ヒュースケンと出会う。一方良庵は、幕府から提案された種痘所開設を目指して良仙と共に尽力するが、西洋医学を嫌う御典医達から様々な嫌がらせを受ける。
その後、軍制改革により農兵隊の隊長となった万二郎は、朽ちかけた「陽だまりの樹」である幕府への忠誠だけでなく、自分が本当に守りたいと思う人々との出会いにより銃を取り、戊辰戦争の戦場の煙に消えた。万二郎と情熱を傾けて語り合った西郷隆盛は、流れに逆らっても何にもならないと呟く。これに対し、傍観者だったはずの良庵は、時代に合わせるだけが生き方ではない、と反発する。
明治に移り、皮肉にも流れに逆らって自滅の道を選んだ西郷を討つための西南戦争に従軍する良庵。時代は彼を高位の軍医、手塚良仙に変えていた。出陣する準備の中、心のなかに現実に屈せず理想を追った友人への憧憬がよぎる。その良庵も戦場で赤痢に斃れ、時代に流されて帰らなかった。
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