ユンディ・リ/ウィーン・リサイタル
①モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330(300h)
②D.スカルラッティ:ソナタ ホ長調 L.23
③D.スカルラッティ:ソナタ ト長調 L.486
④シューマン:謝肉祭 op.9
⑤リスト:スペイン狂詩曲
ユンディ・リ(p)
録音:2005年5月 (ライヴ)
若手のピアニストのなかでも目覚しい活躍を続けているユンディ・リの5枚目のオリジナル・アルバム。2005年のリサイタルでプログラムに取り入れていたモーツァルトのソナタ第10番、シューマンの『謝肉祭』のほか、スカルラッティとリストという興味深いプログラム。ユンディの、内に秘めた情熱をウィーンのムジークフェラインの響きが包み、録音演奏ともすばらしい出来上がり。リの抒情性が前面に出た演奏。遅めのテンポで弱音の美しさを強調し、1フレーズごとによく考えられた繊細な響きを作り出している。その分スカルラッティやモーツァルトはロマンティック仕上がりで、しかもこれほど素晴らしい。
とりわけシューマンの謝肉祭が素晴らしいです。ミケランジェリの謝肉祭が私の中スタンダードだったのですが、ユンディ・リの演奏も、スタンダードになるくらい説得力のある名演です。
こってりとしたところや、デーモニッシュな部分がない。どこまでも明晰で、それでいて味わいのあるピアニシズム。技巧は完璧なのだが、彼の場合、それが素っ気なさや、冷たさ、機械的な方へ振れていかない。こういうピアノは、たしかに今までなかったかもしれない。ショパンコンクール第一位という栄冠を抜きにしても、独特の魅力的な世界。ひけらかすようなヴィルトーゾ的世界から遠いので、地味とか、面白みに欠けるという風に見られたりもするのだろうが、この出汁の効いた薄味というか、さっと塩をまぶしただけの焼き魚みたいな、独自世界は、一度味わったら忘れられないひと皿のように、美味な仕上がり。シューマンからリストへ。ユンディ・リのピアノは、徐々に輝きを増していく。ウィーン楽友協会(ムジークフェライン)での録音、シューボックス型の名ホールの音響に包まれ、陰りのない、幸福感を提供してくれる。
国内盤【廃盤】帯付き、盤面傷無し 31
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