木島日記 1〜3 原作　大塚英志　画　森 美夏　角川コミックス

「木島日記 1〜3」2001〜2003年角川コミックス あってはならない物語。 　昭和初期の東京。 　オカルト、猟奇事件、ナショナリズムが吹き荒れる東京。 　民俗学者にして歌人の折口信夫は偶然に、しかし魅入られるように古書店「八坂堂」に迷い込む。 　奇怪な仮面で素顔を隠した主人は木島平八郎と名乗り、信じられないような自らの素性を語り出した。 　以来、折口のまわりには奇妙な人、出来事が憑き物のように集まり始める…。 　ロンギヌスの槍、未来予測計算機、偽天皇、記憶する水、ユダヤ人満州移住計画。― 　昭和の闇を跋扈するあってはならない物語。 　民俗学伝奇小説の傑作、登場。 　しかしながら、発表経緯は、漫画として『エースダッシュ』1998年5月号から連載がスタートし、その後『月刊エースネクスト』、『エース特濃』vol.1と掲載誌を変えながら2003年まで連載され、単行本は4巻まで刊行された。 　原作者の大塚によってノベライズもされ、２巻まで刊行されている。 　マンガ版では未完であったが、2017年に小説『もどき開口 木島日記完結編』が刊行され、小説の形で物語は完結した。 　民俗学者・折口信夫と仮面の仕分け屋・木島平八郎が主人公のオカルト伝奇ミステリー。 　二・二六事件が起こり、右傾化し戦争へと向かいながら、オカルトや猟奇事件が跋扈する昭和初頭の複雑怪奇な世相が描かれる。 　コミックスの各章のタイトルは折口信夫の著作の題名から引用されている。 　原作者があとがきで 　折口信夫が狂言回し、昭和初頭という「偽史の時代」をえがくには正史への倒錯を複雑に抱え込んだこの時代の民俗学者を抜きにしては語れない。〈中略〉 　折口は死を憧憬している。 　彼が同性愛者であり、つまり自らの血筋を残すことを拒んだのも・・〈中略〉 　この「木島日記」には盛んに、やれムー大陸だ、ロンギヌスの槍だと手垢に汚れたオカルト的な要素が盛りこまれる。 　昭和初期が一種の「偽史」の時代であったがゆえ、オカルトとファシズムが奇妙な共犯関係にあったのがこの時代のドイツと日本で、この時代の空気というものを書いてみたい、と思ったのである。〈中略〉 　今の日本のある種の始末の悪さの根はこの時代にあるのかもしれない。 　写真でおわかりかと思いますが、裁断面に小さな茶色の焼けが散らばってあります♪