エレーヌ・グリモー/レゾナンス
リスト:ロ短調ソナタ、ベルク:ソナタ、モーツァルト:ソナタ第8番ほか
収録作品はモーツァルト、ベルク、リスト、バルトークという4人のオーストリアとハンガリーの作曲家によるもので、作品が書かれた年代は137年間と幅広く、書かれた場所もパリ、ワイマール、ウィーン、ブダペストとさまざま。
自筆譜に1778年パリと記されたモーツァルトのイ短調ソナタK.310は、モーツァルトのピアノ・ソナタの中では珍しく短調で書かれ、その悲劇的で美しい作風から人気の高い作品。
その130年後にウィーンで書かれたベルクのピアノ・ソナタはロ短調を主調とする20世紀作品で、新ウィーン楽派のピアノ曲の中では最も有名。
1853年にドイツのワイマールで書かれ、シューマンに献呈されたリストのロ短調ソナタは、名技的で凝った動機労作からピアニストには表現力の求められる作品。当初クララ・シューマンやハンスリックから批判され、ワーグナーからは絶賛されたこの曲は、現在では人気ピアノ・ソナタとして屈指の存在となっています。
バルトークのルーマニア民俗舞曲は1915年にブダペストで作曲されており、6曲の小品から構成されています。ルーマニアの民俗音楽を素材に書かれたこれらの音楽はどれも親しみやすいもので、中にはテレビ番組でおなじみのメロディもあるなど知名度の高さも十分。
レゾナンス(共鳴)というタイトルのもと、様々なスタイルの音楽をまとめあげた今回のアルバムは、グリモーの到達した現在の境地を示すものとして、その音楽性とテクニックを存分に示すことのできる選曲になっているものと思われます。(HMV)
【収録情報】
・モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番イ短調 K.310
・ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1
・リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
・バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56
エレーヌ・グリモー(ピアノ)
録音:2010年8月
録音場所:ベルリン
録音方式:デジタル