ロストロポーヴィチ バッハ・リサイタル
〔第1面〕 J.S.バッハ
無伴奏チェロ組曲第2番二短調 BWV-1008(19:21)
〔第2面〕J.S.バッハ
無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調 BWV-1011(26:34)
ムスチスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
奇跡の人・ロストロポーヴィチが、ソビエト国内と欧米でじつにかず多くのレコード録音を行なっていることは、世人の要望の限りない大きさからいっても当然のことにちがいない。それにもかかわらず彼は、いまだにチェ口音楽の旧約聖書とたたえられるバッハの「無伴奏チェロ組曲」の全曲はレコードに入れていないのである。おそらくそれはバッハの至高の名曲に対する、彼なりの《おそれ》《異敬》《謙 虚》が理由であって、私たちとしてはそのことに《おごり》といったものをいささかも持たないロストロポーヴィチの誠実さを改めて痛感し、ますます彼に対する尊敬の念を深めるのであるが、と同時になぜバッハにかぎって彼がレコード愛好家の私たちの切実な、期待にこたえてくれないのかと恨みの言葉の一つも云いたくなる事柄である。
しかし《第2番》と《第5番》の2曲だけではあるが、他には一つもない貴重なそのレコードがここにある。その喜びを、私が拙い筆でここにしるす必要は、それこそ冗言されることで あろう。
楽しんで聴いていただける商品です。ジャケットに歴史を感じさせる痛みはあります。