「白球礼賛 ベースボールよ永遠に」
平出隆
定価:¥480
中古品購入後に2年ほど保管していたものを思い出したように一読いたしました。
めっちゃ値下げしても何してもずっと売れなかった野球の審判さんが書いた本を出品していました。しかし先日WBC一次ラウンドをテレビで見ているとき、その本が売れましたと通知が来ました。私は嬉しさのあまり、逆転のチャンスを迎えて打席に向かう大谷など目もくれずに売れた本の梱包に取り掛りました。
ちなみにこの打席の大谷は申告敬遠でしたが、私はこの申告敬遠というルールが好きではありません。手をヒラヒラっとさせ外角に誘導する捕手の謎仕草。これから勝負に関係のない球が投げられるという球場全体を覆う空虚感の中、あんなキャッチボールが好きなのになぜか屈辱的な表情を浮かべて投げる投手。そして勝負を避けられた怒りよりも少し面映いような顔で球を見送る打者。そんな一見無駄とも思えるものがあってこその野球ではないのでしょうか。それをやれスピードアップだと合理化を進めた挙句に野球をつまらなくしているのは一体誰なんでしょうか。そうですね、私のような頭カチカチのオジサンです。
そんなことはさておきいつものようにテキトーに梱包を済ませ、吉田正尚の逆転打を軽く見届けてから発送へと向かいました。そこで気づいたのです。もしかしてWBCやってるから野球の本売れたんちゃうん!?これWBC終わらんうちに野球の本出品したらまた売れるんちゃうん!?そう思いましたので出品いたします。
なんとか売れるために決勝までに読み終わりたく、それこそ周東の足のように飛ばして読み始めたのですが、意外な面白さに打席で構える近藤のようにじっくりと腰を据えて読んでしまい、WBCの熱気も冷めやっちゃった今頃の出品となりました。
本書には大谷もヌートバーも登場しません。しかし張本やレロン・リーならやたら登場します。昭和が忘れられない野球大好きオッサンいかがでしょうか。吉田正尚ばりに背筋をピーンと伸ばし、マウンドへ向かう吉井コーチばりにゆーっくりと発送に参ります。