ベートーヴェン交響曲全集(6CD)
バレンボイム&シュターツカペレ・ベルリン
外界から閉ざされた東ベルリンで奇跡的に残されたドイツの伝統的サウンド!
特異な政治体制により国際化の波に飲まれなかった為に、(皮肉にも)保守的なサウンドが残ったのです!
1999年デジタル録音。業界きってのフルトヴェングラー信奉者として知られるバレンボイム初のベートーヴェン全集。既にピアニストとしては協奏曲とソナタの全集をそれぞれ2度録音し、スペシャリストの一人と目されながら、交響曲は7番と9番のライヴがあったのみ。
それだけに、2ヶ月という短期間で一気に収録されたこの全集には内心期するところがあったに違いなく、演奏も、そうした意気込みを充分に感じさせる重量級の大熱演となっています。マスとしての力強さを前面に押し出した重厚なサウンドはまさしくシンフォニック、常に何かを語りかけ、訴えかけてくるような表情の豊かさなど、確かに往年の名指揮者を彷彿とさせますが、それが単なる懐古趣味に陥っていないのは、片時も失われることのない強靭な生命力の賜物でしょう。
バレンボイムの下でリフレッシュしたベルリン国立歌劇場管の充実ぶりも特筆もの。ヴァイオリンを左右に振り分けたオーセンティックな配置による“ドイツ的”としか言いようのない剛健な響きは、この全集の聴きどころのひとつとさえ言いたいほど。ベルリン・フィルやシカゴ響を差し置いて、この古い伝統を持つ団体を起用したバレンボイムの意図は明らかです。
今日では、かつてこのオケに在籍したセバスティアン・ヴァイグレ(読売日本交響楽団(読響)常任指揮者)が似たようなサウンドを聴かせています。
【収録情報】
● 交響曲第1番ハ長調 op.21
● 交響曲第2番ニ長調 op.36
● 交響曲第3番変ホ長調 op.55『英雄』
● 交響曲第4番変ロ長調 op.60
● 交響曲第5番ハ短調 op.67『運命』
● 交響曲第6番ヘ長調 op.68『田園』
● 交響曲第7番イ長調 op.92
● 交響曲第8番ヘ長調 op.93
● 交響曲第9番ニ短調 op.125『合唱』
ソイレ・イソコスキ(ソプラノ)
ローズマリー・ラング(メゾ・ソプラノ)
ロバート・ギャンビル(テノール)
ルネ・パーペ(バス)
ベルリン国立歌劇場合唱団
シュターツカペレ・ベルリン
ダニエル・バレンボイム