ＬＰ２枚組／バックハウス／ベートーヴェン　６大ピアノ・ソナタ／SL-5101〜2

ベートーヴェン　6大ピアノ・ソナタ Side 1-band 1 1) ソナタ 第14番 嬰ハ短調、作品27の第2 <月光> "MOONLIGHT" Side 1-band 2 2) ソナタ第8番 ハ短調、作品13 〈悲愴> "PATHETIQUE" Side 2 3) ソナタ第23番 へ短調、作品57 〈熱情> "APPASSIONATA" Side 3-bands 1/2 4) ソナタ 第21番 ハ長調、作品53 〈ワルトシュタイン〉 "WALDSTEIN" Side 3-band 3& Side 4-band 1 5) ソナタ 第26番 変ホ長調、作品81a 〈告別>"LES ADIEUX" Side 4-bands 2/3 6) ソナタ第17番 ニ短調、作品31の第2 〈テンペスト〉"TEMPEST" バックハウスは名匠気質的傾向の作品を得意にした。シュナーベルやケンプが、ベートーヴェンを音楽的に解釈しようとして、テンポやリズムに細かい心遣いを行ない、ともすれば楽曲を自己の解釈で作って演奏したのに対し、バックハウスは、テンポや小さい動きや音のニュアンスに対して彼らほどの繊細にして緻密なセンスを働かせてはいないが、それに代わるものとして、逞ましさと非常に洗練された音質によるボリュームでベートーヴェンの音楽を演奏し、我々に対しベートーヴェン自身にその音楽を語らせた。このように彼らには三人三様の個性と特徴がある。 各々に一長一短があり、1人がなしえないことをいずれかのピアニ ストがやってのけている。そしてベートーヴェンのピアノ・ソナタを彼ら1人1人が全力をつくして独自の方向からアタックし、その道をきわめていることはいうまでもない。いずれもが模範的演奏であり、いずれの演奏がよいかは聴き手の趣味であり、主観の相違によるものである。前記したようにバックハウスは、至難な演奏技巧を要する楽曲を得意とし、その演奏は雄大であり、特に〈ワルトシュタイン〉や〈熱情〉にみられるボリューム感はベ ートーヴェンらしい堂々たるもので傑出している。この巨匠もすでに死んでしまったが、レコードを通して、彼の芸術に触れられることは不幸中の幸いといえよう。 楽しんで聴いていただける商品です。ジャケットに歴史を感じさせる痛みはあります。