[異常心理学講座 第3巻] 人間の生涯と心理

「[異常心理学講座 第3巻] 人間の生涯と心理」 （みすず書房） 土居健郎・笠原嘉・宮本忠雄・木村敏 責任編集 1987年10月発行 定価4,000円 〈クロノロジカルな全体性のなかで〉 　今回の講座では、この第三巻に「人間の 生涯と心理」という主題が大きく設定され ていて、別になんの変哲もないようだが、「異常心理」の文字がそれぞれの項目から取り払われていることに多少の注意を喚起しておきたい。つまり、これまではある特定の時期に生じうる異常や病理を取り出し、これらをその時期固有の問題として単独に分析し検討することが多かったわけだが、もとより人間の年代は一貫した連続体であり、それぞれの時期はたがいに有機的につながっているはずで、そういうクロノロジカルな全体性のなかで個別の時期とその間題性を読みとっていくのでなければ、「人間の生涯」の視座として十分ではないし、 第一、臨床の要求にも応えられない。 　今回のこの巻が右に述べたような理念をどれほど満たしているか、その判断は読者 諸賢にゆだねるしかないが、新しい時代の 「年代学」をこころざすその方向性だけは まちがいなく汲み取っていただけるものと思う。 　　　　　　　　　　　　　　　(まえがきより) 【目次】 まえがき　　　　　　宮本忠雄 新生児期　　　　　　花田雅憲 幼児期　　　　　　　若林慎一郎 児童期　　　　　　　山中康裕 青年期　　　　　　　高頭忠明 中年期　　　　　　　高橋俊彦 老年期　　　　　　　大森健一