「学校教育の限界」 子どもの心を理解できない教師たち 北島恵美子①

本来的には、これほど万遍なく考察された本も少ないのではないかと考えます。 著者のケア論は、慶應義塾大学医学部の予防医学の北里柴三郎先生や精神分析学で有名な小此木啓吾先生のものです。 「配慮(Care)」を重視し、問題を未然に防ぐ予防教育に依拠しています。 1章は、Nightingale女史の解説なので、母性の本質を紹介したものでしょう。 ただ、章内で前提なくナイチンゲールと聖書からの抜粋をしたことが、そこに立てない方にとっては宗教的文章と思われがちなのか。 それでも、全文を精読すれば、ブーバーやベルグソンの対話型の現象学だと推測できますが。 とは言え、とてもコンパクトにまとめ過ぎているために、哲学や生命倫理、精神分析を理解していないと通読するのが大変かな？ 時間のない方は、イタリック体の英語で書かれている文を読めば本旨は掴めます。 どこから読んでも良い構成スタイルは幼少期より五感をバランスよく育て自立させるヨハネボスコの教育の影響か？イタリアの教科書作家の書いたピノキオのように、最初から解答を出さず、読者各自に解決法を考えさせる手引書の読ませ方にみえました。 ただ、こうした手法をトップダウンに馴染んだシニアがその内容を理解出来たときに、現場で統合し遂行できるのか？疑問に感じます。 また、書くことを回避したのではと思う表現が散見されるので、注釈でも良いので補填を希望しています。 もう一点は、書かれている事例が都市の学校の状況であって、地方ではかなり遅く起こりそうな現象も多いので、すべて異なるタイプの事例を均等に集めているにも拘らず、首都圏外の方に特殊な事例ばかり集めて書いているようみられるのが残念。 ただし、現在はオンラインの時代なので、アセスメントの作成と共有の仕方は教育関係者でも福祉関係者でも、生徒の抱えている事象を漏れなく共有し、いち早く問題解決するため参考になるのではないかと思います。 医療福祉系、教育系のレポートや論文で高評価を得たい方にもおすすめです。 こちらの売上を困難を抱えている子のために寄付します。 #教育ケア #慶應義塾大学医学部 #慶應義塾大学看護医療学部 #慶應義塾大学病院 #慶應病院 #ベルクゾン #現象学 #慶応義塾大学医学部附属厚生女子学院 #慶應看護紅梅会 #ウェーランド