ショパン
12の練習曲Op.10
12の練習曲Op.25
アルフレッド・コルトー(ピアノ)
録音:1942年11月パリ
この曲集のコルトー盤と言えば、1933&34年盤が有名ですがこのディスクはそれから8~9年後の録音です。すでにこの時点で指はまわらなくなっていることは事実です。しかし音楽はテクニックだけで成り立つものではありません。この演奏を聴いていると、最後までピアニストであり続けようとしたコルトーの姿勢には共感したくなります。
この1942年盤は、柔らかく、温かみのある響き。自然体で、流れが軽やか。優しく落ち着いた雰囲気で、味わい深く聴かせてくれます。「別れの曲」は、セピア色の写真を眺めながら昔の別れを思い出すような、ノスタルジックな雰囲気。「革命」も力まず自然体で、絶妙のニュアンス。リズムの切れやテクニックの冴えはないのですが、独特の枯れた味わいのようなものがあります。こちらの方が一般的なコルトーのイメージに近いかも?まさにナチス占領下での演奏ということになるのですが、戦時中の緊張感のようなものはほとんど感じられません。コルトーは芸術以外のことには無頓着だったのかもしれません。
ポリーニの練習曲ではショパンの譜面に書いてあるものはすべて(音符も表情記号も)技術を用いて音として具現化されている。あいまいな部分は無い。その意味ではこれ以上の演奏は無い。ポリーニの練習曲の録音以上のことをすれば、ショパンの演奏から逸脱することは間違いない。例えば、アシュケナージの練習曲では技術的、解釈の面では立派なものだが、ポリーニとの勝負は敢えて避けて、ポリーニがすべての面を明らかにしようとしたことでかえって抜け落ちたものに光を当てようとしている。実際の人物としてひ弱な男性ショパンのイメージ(サンドとの倒錯的な人間関係などの)を大切にしている。この2人の録音は素晴らしいものだが、ショパンの練習曲はそれだけの作品だろうか。まだまだ抜け落ちているものがある。コルトーのショパンには、ポリーニ盤やアシュケナージ盤にはないショパンのさらなる内面を感じ取ることができる。
国内盤、帯付き、盤面傷無し 12
プラケースすれあり
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