よろしい! ぼくは出て行く!
《声の力で世界を完膚なきまでに破壊して、ぼくは進む、美男子で二十二歳》と言い放ったその年に詩人は奇妙な夫妻と知る。のちに秘密警察 OGPU の工作員として働くことになるオシップとリーリャのブリーク夫妻である。詩人と妻の関係を知りながら、あろうことか、夫オシップは詩人の作品を一行50カペイカで買いとり、『ズボンをはいた雲』『背骨のフルート』を出版する。『フルート』初版600部が世に出たのは16年2月。来る5月に詩人は《ロシア式ルーレット》を実行し、さいわい、弾丸は不発に終る……。高橋睦郎序文。日本翻訳家協会特別賞。
- 書 名:背骨のフルート
- 著 者:マヤコフスキー
- 翻 訳:小笠原豊樹
- 序 文:高橋睦郎
- 仕 様:ペーパーバック判(172 × 112 × 5.1ミリ)64頁
- 番 号:978-4-907511-03-6
- 初 版:2014年10月10日
- 定 価:952円+税
全体が不実の恋人リーリャへの「弾丸の終止符」であるとともに、ソビエト政府と人民と自分との三角関係の終止符への予告ともなっている
−−高橋睦郎(詩人)
一九一六年。これはマヤコフスキーにとって惨憺たる一年だった。……殺戮の報道にうんざりした詩人はこんな作品を書いている……。《モスクワ市に言ってやってください、/勝手に死守しやがれって!/そんな必要ないんだ!/武者ぶるいはやめときな!》
−−小笠原豊樹(詩人・翻訳家)
[マヤコフスキー叢書]
- ズボンをはいた雲(入沢康夫)
- 悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー(平田俊子)
- 背骨のフルート(高橋睦郎)
- 戦争と世界(町田康)
- 人 間(佐々木幹郎)
- ミステリヤ・ブッフ(谷川俊太郎)
- 一五〇〇〇〇〇〇〇
- ぼくは愛する
- 第五インターナショナル
- これについて
- ヴラジーミル・イリイチ・レーニン
- とてもいい!(L・カッシリ)
- 南京虫
- 風 呂
- 私自身(自伝)
- 別巻 声のために