「ZERO7/simple things」
ZERO7
(輸入盤)
Zero 7のたぐいまれな才能、つまりこのデビュー作『Simple Things』で聴けるような美しい子守唄と60年代風フレンチ・ポップの融合をもってすれば、映画音楽家として名を上げるか、チルアウト・ミュージックで一目置かれる存在になることもできたはずだ。しかし不運なことにフランス人デュオ、エアーが「退廃クールサウンド」の称号を欲しいままにしているが故に、このロンドン生まれのヘンリー・ビンズとサム・ハーデイカーのデュオは「イギリスのエール」という地位にとどまっている。が、これも納得できないわけではない。Zero 7の映画音楽風の分厚いアレンジとエールの『Moon Safari』や『Virgin Suicides』のスコアがよく似ているのはまったくの偶然ではないからだ。
とはいえ、このデビューアルバムが傑作であることに違いはない。フェンダー・ローズのコードの刻みの上にかぶさるさまざまな電子音、豊かなストリングス、柔らかなトランペットの音色、そのアレンジ、すべてが十分に練られており、何よりもビンスとハーデイカーが作り出すけだるいグルーブとソフトで哀愁を帯びたメロディーが素晴らしい。夢心地なインスト曲「Give It Away」「Polaris」は特に秀逸。『Simple Things』の真の魅力は曲の良さにある。アンビエントなメロが美しく、特にオーストラリアのディーバ、シアのボーカルが魅力的な「Destiny」、胸を打つような「Distractions」では、彼らのポテンシャルの高さを痛感する。(Dan Gennoe, Amazon.com)
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