流人道中記 上下巻 2冊
著者:浅田次郎
2023年2月25日初版発行.上下巻
定価は各巻税抜780円
時代の背景は、江戸時代末期の1860年、桜田門外ノ変で井伊直弼が暗殺され時代が大きく動き始めた年でもあります。
不義密通の破廉恥罪で切腹を言い渡されるも拒み、蝦夷松前藩へ流罪判決が下った将軍家近侍の三千二百五十石の旗本.青山玄蕃35歳。その押送人(おうそうにん)を押し付けられたのが、武士の最底辺・足軽次男から見習与力となった石川乙次郎.19歳。そんな2人の道中記です。
まだ夫婦とは言えない関係の15歳の妻「きぬ」を残して、婿養子で道中であれこれ考える乙次郎と小気味良いほどに「あっけれらかん」としている玄蕃の組み合わせが読み進めていくうちに、とてもしっくりして来ます。読み進めるほどにに青山玄蕃が魅力的になって行きます。一見ふざけているようで、一本筋が通っています。
一方の押送人の若者、石川乙次郎は青山玄蕃に対して反感を抱きつつも、彼の真の姿を垣間見るごとに成長して行きます。
また、青山玄蕃の生い立ちを知ることにより、どのようにして青山玄蕃なる人物が出来上がったか理解することになります。
武士の存在そのものが罪であるとして、自らお家の存続も放棄し妻や子供とも別れて何もかも捨てて流人となった青山玄蕃。
「武士の本分とはなんぞや」これを教えるための道行だったのか。青山玄蕃の明るさが私にはとても悲しく写りました。義を貫くために流刑をも飲みこんで。つまらない敵討をやめさせたのも、磔になる少年を諭したのも、飢餓から仮病し死を望む百姓女性の仮病を心の病とし村に残したのも、どれも全て命を大切にするためだと教えています。
青山玄蕃が蝦夷に流刑された7年後に徳川幕府は「大政奉還」をします。
青山玄蕃の望んだ「でっちあげられた武士道をぶち壊す」「偽りの権威で塗り固めた家を潰す」が目前に迫っていました。
青山玄蕃と石川乙次郎とのやりとりと言動、石川乙次郎が妻きぬに書いた手紙にとても暖かく清々しい気持ちになりました。
ただ亀吉が磔になるくだりだけは、切なくて悲しくて、、法は曲げらない、、
私はこの書籍をメルカリの取引を通じてのメッセージから教えていただきました。
「おかぽん」様ありがとうございました。
とても良い本に出会いました。
「義」
今の政治家たち全員の必読書です‼️