くまのプーさん 英国文学の想像力
安達 まみ
光文社新書 2002
プーさんは男女を問わず、人々の心をとらえるのか?一九二〇年代のイギリスにたちもどり、プーさんが生まれた時代背景と、作者であるひとりの父親と息子のストーリーをひもといていく。実在の森と田園を舞台に、作者ミルンは類いまれな想像力とユーモアを駆使して物語を紡いでいった。今まであまり顧みられることのなかった多彩な原作の文学世界を正面から論じた一冊
目次
序章 ちっぽけな脳みそのくま
1 くまと物語
子ども部屋にやってきたくま
ミルンの作品に初登場したくま
くま、とうとう詩の主人公に
くまの名前はどこから?
2 作者ミルンの生い立ち
家庭のつぎによい場所で
「自然の展覧会」に育まれて
おとなからの自立を夢みた日々
数学から詩の創作へ
作家への道のり
3 プーさん誕生前夜
第一作『ぼくたちがとてもちいさかったころ』の誕生
「リズムと空想の世界」の達人
姪マージョリーがくれたインスピレーション
父と息子のよき時代
とうとうプーさんの舞台へ
4 『くまのプーさん』の世界
誕生と同時に得た名声
くまがくもになりピグレットがルーになったら
—「騙しのテクニック」
ウーズル狩りとヘファランプとの出会い
—「言葉の喚起力」
ノース・ポール、あるいは極地探検についてのひとこと
—「発見」
5 『さあぼくたちは六歳』
プ―との再会
さびしい王様を詩に
「べつになんにも」を味わう水夫
アンとクリストファーの情景
ねこに見る親子の逆転
プーとクリストファーの友情も歌われて
6 『プー横丁にたった家』
「別れ」の暗示
イーヨーとアウルの家探し
—失われた家を求めて
ヘファランプふたたび
—「とても小さな動物」ピグレットのお手柄その一
風のつよい日
—その二
「遊び」の探求
—詩人プー、プースティックス遊びを発明する
魔法にかけられた場所
—クリストファー・ロビンとプーのあらたな旅立ち
7 物語がのこした光と影
終止符を打った理由
息子クリストファーに落とした影
平和主義者ミルンが立ちあがったとき
クリストファーの自立と絶縁
晩年のミルン
おわりに
ひとり歩きをはじめたプー
プーの森はいま
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