Perotin / ヒリヤード・アンサンブル新品未開封品

ECM New Seriesは、普通のクラシックレーベルが取り上げない音楽を彼らの視点で （というか、マンフレッド・アイヒャーの）再構築するが、これはその中でも最たる もの。 　吉田秀和氏の名著、LP300選で名前だけ聞いていた作曲家ペロタンを取り扱った作品 で、演奏もヒリアード・アンサンブルなら、古楽ファンは持っていて損はない。特に１ 曲目のViderunt Omnesと終曲のSederunt principesは、宗教が陶酔（いわゆるハイに なる）と無縁ではないことを如実に示す大傑作。 　古楽会の大物である、故David Munrowも「ゴシック期の音楽」というレコードで両 曲を取り上げているが、ヒリアードアンサンブルは全て声を使って表現しており、陶酔 感は本盤の方が上。 　ミニマル界の大物のスティーブ・ライヒも同じECMから出されている本人の作品の解 説書で、ペロタンを世界最初のミニマリストと言明しており、ミニマル音楽ファンも必聴。 　また、古楽というとパレストリーナのような最初から最後まで美しい音楽をイメージ する人には、あらゆるところに現れる不協和音の響きと８分の６拍子系のリズミックな 動きに、これが１２世紀の音楽となのかと驚くこと必至。 　ちなみに、このCDにはペロタン本人の作品ではない、作曲家不詳の曲が入っているが、 特に８曲目のBeata visceraのメロディは、1990年のEnigmaのヒット曲Sadness（グレ ゴリアン聖歌とダンスミュージックの融合と騒がれた）の一部分に使われております。