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異端の精神史 (叢書ヒストリー・オヴ・アイディアズ 18)

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平凡社で翻訳刊行した思想史の百科事典的なシリーズ『ヒストリー・オブ・アイデアズ』から、一つのテーマに絞ってまとめた本の一冊だ。統一した論述はないが、関連した記述をまとめて読めるので、参考になる。 グノーシス主義については、二つの異端の形式として、伝統的な道徳からの解放という極と、極端な禁欲という極が対立して存在していたことが興味深い。キリスト教の教会はこの二つの極端な傾向のどちらにも用心をつづけたのだが、中世以降の異端でも、この二つの形式のどちらかをとることが多い。禁欲を否定できないだけに、キリスト教にとってはこちらの方が危険である。 千年王国論については、マルクス主義の理論と、現代の東洋の千年王国論が注目される。革命表象としては、なんども回帰する可能性のあるものだ。ここでは日本語で読める文献をリストしておく。 □コーン『千年王国の追求』紀伊国屋書店、一九七八 □ランタナリ『虐げられた者の宗教-近代メシア運動の歴史』新泉社、一九七六年 □ホブスボーム『反抗の原初形態--千年王国主義と社会運動』中央公論社、一九七一年 □会田雄次ほか『異端運動の研究』京都大学人文科学研究所、一九七四年 □宮田登『ミロク信仰の研究』未来社、一九七五年 □鈴木中正編『千年王国的民衆運動の研究--中国・東南アジアにおける』東京大学出版会、一九八二年 妖術の項目では、民間の妖術と広い意味での魔術の両方が扱われる。これは巨大なテーマだけにごく簡単な素描に終わっている。ここでも文献をリストしておこう。魔術のテーマでは一九七〇年代がひとつのピークを形成しているかのようだ。 □バルー『妖術』白水社、一九五八年 □セリグマン『魔法--その歴史と正体』平凡社、一九六二年 □ミシュレ『魔女』岩波文庫、一九八三年 □ヒューズ『呪術--魔女と異端の歴史』筑摩書房、一九六八年 □森島恒雄『魔女狩り』岩波新書、一九七〇年 □メア『妖術』平凡社、一九七〇年 □バッシュビッツ『魔女と魔女裁判--集団妄想の歴史』法政大学出版局、一九七〇年 □浜林正夫『魔女の社会史』未来社、一九七八年 □二宮宏之ほか編『魔女とシャリヴァリ』新評論、一九八二年 □ジヴリ『妖術師・秘術師・錬金術師の博物館』法政大学出版会、一九八六年

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