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if の悲劇
殺人後に起きたアクシデントに対し、もしもこうだったらという2通りのパターンでそれぞれの展開の変化を楽しませようと意図された小説。妹を自殺に追い込んだ男を殺めた際、その目撃者を車で轢き殺した場合とそうでない場合の「もしも」の世界が交互に描かれていきます。主人公・加納は妹を溺愛しており、近親相関に至っています。妹・彩は実は同期の奥津と婚約するのですが、奥津の浮気が原因で飛び降り自殺してしまいます。復讐を誓った兄は奥津を呼び出して殺害。しかし、偽装工作を終えて戻る途中に加納は交通事故を起こしてしまうぼでした。ここから物語は二つに分岐すします。
2つの物語を交互に描いているため共通した出来事はできる限り省略してしまうという約束になっていることが、一つの鍵になっており、読者は次第にミスリードされていきます。そしてエピローグで明かされる真実。読者は作家にすっかり騙されていたことに初めて気が付きます。
15年目の復讐
ミステリ作家の西野冴子を殺人事件の犯人に仕立て上げる過程を描きますが、本書ではラスボスの莉菜に操られて西野に近づき、彼女を陥れるきっかけとなるサブキャラ達の視点で描かれる短編小説といった形式をとっています。
莉菜に操られ手先となって西野に接触するのは
・冴子のファンの主婦
・冴子の従兄弟
・冴子担当の出版社社員
で、それぞれの弱みを握り、追い込んでいくプロセスは巧妙で、彼らを思いのまま操る莉菜は恐ろしすぎ
最後の章でその後が明らかになるのですが、肝腎の動機であるなぜ莉菜は冴子をここまで陥れるのかが明らかにされません。どうやら浦田の別著「カインの子どもたち」でこの秘密が明らかになるようですので、こちらも読まなければならなくなります。
こうして浦田和宏に操られる読者たちなのです。