秘密の花園　F•H•バーネット作　猪熊葉子訳　堀内誠一画　福音館文庫　福音館書店

〈解説文は全て独自で書いております。無断使用はご遠慮下さい。〉 ★2005年第2刷発行。紙カバー付き。 ★カバー＝表面に保管上のスレ傷やや有。 　　　　　背の天にややヨレ傷有。 ★本体＝天にスレやや有。地に角スレ汚れ有。 ★★上記以外、内部は使用感希薄で、製本は堅牢、経年比で美品と存じます。ご愛読に支障は御座いませんが、一度人手に渡った品です。新品では御座いません。 　オルコットやモンゴメリ、ウェブスターと並んで私の大好きなバーネットの名作です。 　小公子、小公女が有名すぎて？当時は余り目立たなかった作品のようですが、どうしてどうして。 　人格が高潔すぎる小公女セーラや、純粋なセドリックに比べて、ひねた傲慢な、我儘娘のメアリーは、より一層リアルな子供像で魅力的！と感じます。 　植民地下のインドで、多くの召使に囲まれ、威張りちらして育ってきたメアリーは、大変な我儘者。その上、外見は痩せっぽちの、可愛げのない子供です。 　裕福な家庭ですが、親からは顧みられず、ほぼネグレクト状態。疫病で両親を亡くしたメアリーは、さして悲しむことなく、伯父に引き取られます。 　この伯父宅がまた立派で、600年の歴史のある豪壮な邸宅なんです。インドの召使とは違う、どしどし自分の意見を言うメイドのマーサや、その弟の、動物に好かれる自然児ディッコンと知り合います。 　ある時、メアリーは夜中に聞こえてくる泣き声の正体を探しに屋敷の中を巡り、遂に叔父の一人息子の、病弱なコリンと遭遇します。 　コリンも、母を早くに亡くしています。妻を亡くした悲しみで手一杯の父親は育児放棄。とても寂しい子供でした。 　お金はあっても愛してくれる人のなかった偏屈な二人が、喧嘩しながらも友達になっていく様子は、子供の素直な心情を感じさせてくれます。 　枯れ果てた花園の再生と、二人が心と体の健康を取り戻して成長していく姿が重なって、見事な構成となっています。 　また、マーサの母親の、愛情に溢れたソワビーのお上さんが素敵なんです。食欲の回復した子供達への差し入れの、焼きたての葡萄パンや新鮮なミルクの描写は生唾ものです。 　猪熊葉子氏の、読み易くゆかしい訳文をご堪能下さい。 　状態は、上記★書きと、画像よりご判断下さい。 古書にご理解のある方との、嬉しいご縁を心よりお待ち致しております。