RE-1069-RE
エラート1000シリーズ・バロックの大作曲家たち―(9)
バッハ以前のオルガン音楽
マリー=クレール・アラン (オルガン)
フレスコバルディ/プロウ/パッヒェルベル/チェルノホルスキー/グリニー
今日のオルガン愛好家が、何の予告もなくいきなりフレスコバルディー、ティトルーズ、カペソン、ジョン・プロウあるいはスヴェーリンクなどが“愛用した”楽器の前に坐らされたとしたらさぞかし驚くことであろう。たとえばジョン・プロウは一体どんな楽器を弾いていたのだろうか? 彼のオルガンにはペダルすらなかった。フレスコバルディーのそれは? 彼の楽器は一組の手鍵盤とわずか1オクターヴのペダルを持っていたにすぎない。そしてコルレア・デ・アラウホの楽器にしても、ちょうどハルモニウムのように、音色に変化をもたせるため、演奏のたびにその音栓が2分される手鍵盤を一組持っていたにすぎなかった(この楽器では足で操作出来る栓はせいぜい4ないし5であった)。
このような種類の楽器では、フランクやメシアンの作品は勿論のこと、バッハの主要オルガン曲の完全な再現もほとんど不可能に近いであろう。たしかに、各世紀の楽器の機構はそれぞれの世紀の音楽作品に対応するもので、別の世紀のものには不適当であるということは真実である。だがこれはただその必要性という理由からだけではなく、その時代の音楽理念の上からも互に即応するのである。私たちの後継者が、メシアンの「3つの礼拝曲」のオンド・マルトノを、未来の或る楽器ととりかえるときがやがては来ることであろうが、それでもやはりオンド・マルトノは作曲者によって、したがってまたその最もすぐれた演奏者によって、特別に選ばれた音色の楽器として残ることであろう。フレスコバルディーにおける“イタリア風リピエノ音栓”、グリニーやクープランなどにおける“舌管音栓”や“フランス・コルネット音栓”にもこれと同じことがいえるのである。
楽しんで聴いていただける商品です。未使用盤ですのでジャケットは全体をラミネートされた状態でした。一片をカッターナイフで切って商品状態を確認しております。ジャケット及びレコード盤は新品同様の状態です。