旧版岩波少年文庫‼️チビ君　ドーデー作　内島濯訳　高松甚二郎絵

〈解説文は全て独自で書いております。無断使用はご遠慮下さい。〉 ★1992年第12刷発行。カバー無しタイプ。 ★表紙＝表面に保管上のスレやや有り。 ★本体＝三方に点状のシミ汚れ有り。 　　　　本文内は目立つヤケシミ汚れ等なく、 　　　　使用感希薄で綺麗な状態です。 　ドーデと言えば、私にとって「風車小屋便り」「最後の授業」などが授業等でも取り上げられる、美文調の作家様のイメージが強い方でした。 （「タルタランシリーズ」など、面白そうなものも書かれていますが、これは未だ読んだことが無いのです。） 　本書も、両親共にブルジョワ階級出身の、大きな工場を持つ家で生を受けますが、この父親はつくづく人生の困難を切り抜けるのが下手な男で、破産の憂き目に遭います。 　破産をするのは致し方無しの場合も有るとして、問題はそれを周りに当たり散らす事です。矢面に立たされたチビ君の兄ジャック兄さんは泣きグセが付いてしまう程です。 　綺麗な庭付きの広い屋敷を売り払って、リオンの貧しい家に引っ越してくるのですが、もう、アブラムシ（Gの事ですよね）だらけの家と聞いただけで縮み上がります。 　チビ君はブルジョワから給費生となり、厚い保護の元、チヤホヤされて育った環境から大きく異なる社会へと入っていきます。 　読んでいると、内容的には大変そうな場面でも、独特の詩的な文章や表現の為か、とても悠長に感じます。全てが思い出というオブラートに包まれているようです。 　やがてチビ君も大人になり、やんちゃ坊主ども教える事になりますが、彼らを上手く収めることが出来ません。 　反抗の親玉の、親が伯爵の小僧を殴ったことで、チビ君は糾弾され、上司や伯爵から散々な目に遭わされます。 　思うに、世渡りの下手さを父親から受け継いでないかな？と思わされる一場面でした。また、友人の恋文の代筆を頼まれて、書き始めたことから厄介に引き込まれます。この人は危機管理が出来ないまま大人になったんじゃ、と言いたくなる一コマです。 　ドーデの事を絶賛する有名作家様も見えますが、私はどうも常識と違うんじゃ、と捉えてしまうようです。 　詩的な文章の美しさを楽しめる方に是非！ 　長期個人保管の品です。状態は、上記★書きと画像よりご判断下さい。 　古書にご理解のある方との、嬉しいご縁をお待ち致しております。