ぽんちゃん

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〈解説文は全て独自で書いております。無断使用はご遠慮下さい。〉 ★昭和47年（1972年）発行。函、ビニカバ付き。 ★ビニカバ＝黄変、シワ、縮み、一部破れ有り。 ★本体＝三方に経年ヤケ、紙面黄変有り。p139 　　　　からp142にかけて微細な角折れ跡有り。 ★★上記以外、目立つシミ汚れ等無く、製本は堅牢、52年経過の児童書としてはとても良好な状態と存じます。然し乍ら、経年のヤケ、黄変等御座います。気になる方はお避け下さい。　昔の子供の本は、何故こんなにしっかりとした製本にビニカバ、函付きと、至れり尽くせりの仕様になっていたのでしょうか。　それは、本が子供たちにとって、とても価値のあるもので有り、娯楽•楽しみの大きな要素であったからですね。　昭和の40年代は、NHKと数社の民放以外テレビ放送など想像もできなかった時代です。　当然ビデオも無し。見たい番組には釘付け、オマケにTVは一家に一台。自然と茶の間に家族全員集合でした。　子供向きの文学的番組など無かったので、子供達が大いなる物語の世界に入るには、読書が一番の近道だったのです。　シートン動物記やファーブル昆虫記は、宝島や十五少年漂流記に並んで鉄板の人気本でした。各社競って全集を出していたのです。　中でも、白木茂氏の訳は、適度に感情移入し易い温かみのある訳文で、子供達に親しまれてきました。　灰色グマワーブのお母さん熊の語り口など、本当に優しいお母さんそのものです。　蟻の巣を前にして、「さあ、食べ方を教えてあげましょうね」とか、川魚を獲りにいけば、「お母さんのすることを見ているのよ」など、言葉の美しい昭和の母そのものでは有りませんか！　母熊を人間に撃ち殺され、自分も銃で撃たれて、「お母さん、お母さーん！」と泣く子熊ワーブが可哀想でなりませんでした。そりゃ、灰色グマが牛を獲ったり悪さをしてたんですが。　さて、若い頃には森の王者であったワーブも、老いて衰え、その一生を終えていきます。哀愁ある終わりに、人間の人生が重なるようです。　子供達は、シートンから動物の生態を学ぶのみならず、白木氏の訳文から正しい親子像をも読み取っていたのだと存じます。　状態は、上記★書きと、画像よりご判断下さい。古書にご理解のある方との、嬉しいご縁を心よりお待ち致しております。